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news 2020.4.28
 
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福岡県公共不動産活用推進プロジェクトレポートvol.2「大牟田市編」
濵田大史(福岡R不動産/DMX)
 

いま、日本全国では、使われなくなった学校、公民館、庁舎、公園、土地などなど、自治体が所有して活用に困っている公共不動産がどんどんと増加しており、R不動産のグループサイト「公共R不動産」では、その活用に少しでもつなげていければと各自治体が所有する公共不動産物件情報を掲載したり、活用方法を知ってもらうための読み物などを連載したりしています。

(「公共R不動産」HP)

そして今年、福岡県×公共R不動産+福岡R不動産で福岡県内の公共不動産の活用を推進するプロジェクトが実施され、自治体も公共不動産の民間活用に前向きな動きが出てきていたり、自治体ならではの物件情報が出てきたりと、その機運が高まってきています。そこで、福岡県内の公共不動産にまつわる動きをより多くの人にも知っていただくために、いくつかの自治体の方々にインタビューをさせていただけることに。

その第2弾として、今回は福岡県の最南端に位置する「大牟田市」」さんにお話を伺うため市役所を訪問したのですが、なんと、この日は副市長をはじめ、各課ご担当者の皆さまがお揃いの衣装で歓迎してくださいました!

(後列左から:藤井副市長、甲斐副市長、田中さん(都市計画・公園課)、丸山さん(総合政策課)、前列左から:中村さん(学務課)、八十島さん(建築住宅課)、田中さん(財政課)※各所属は令和元年度時点)

それでは、早速インタビューに、と行きたいところですが、その前に皆さんお揃いの蝶ネクタイにサスペンダー、しかも副市長まで・・・(一同笑)熱烈な歓迎をありがとうございます!それでは、はじめに大牟田市の特徴などについて教えてください>

甲斐副市長:大牟田市を語る上でまず欠かせないのは、かつて一世を風靡した石炭事業で栄えた街ということですね。ピーク時の昭和34年頃には約21万人の住民がいて、産業の中心地であったことを考えると交流人口まで含めると相当の賑わいがあった場所でした。その後、石炭から石油へのエネルギー革命によって、その産業構造も形を変えていきましたが、数年前に市政100周年を迎えまして、そう言った産業と共に長い歴史を重ねてきた街と言えると思います。近代化産業遺産としてはもちろん、間接的にも、現在の街の姿に大きな影響を与えている当市のルーツです。

ちなみにこの市役所の建物も長い歴史の象徴で、戦災を免れた数少ない建物のひとつ。国の有形登録文化財にも指定されています。

(国の有形登録文化財にも指定されている大牟田市役所庁舎)

(昭和15年に開坑し三池炭鉱の主力坑であった三川坑跡)

(三川坑跡地内はまるで時が止まったかのような雰囲気でした)

その産業が発展してきた背景には、我々は「九州のへそ」という言い方をしていますが、「福岡、熊本、佐賀など、各地どこへ行くにも遠すぎない」という地の利を受けてきたことがひとつの要因としてあり、交通インフラの整備にも繋がっていきました。
結果として、現在でも西鉄、JRの鉄道、高速道路、国道に有明海に面した港など本当に交通利便性に恵まれていて、これは当時、団琢磨さん(三井財閥形成の原動力となった大牟田の三井三池炭鉱の事務長を務め、後に三井財閥の総帥となる)などが大牟田の中長期的な視点を見据えていろいろな整備をしてくれたおかげで、交通含め都市インフラが今に活かされています。
あとは、実は大牟田市は、平成の市町村大合併をしておらず約80万平方キロメートルというそれほど大きくない圏域の中で市政も続いていて、例えば、ユネスコスクールに加盟している教育、医療介護サービス、防犯など、いろんな面でひとつの形がしっかりと出来上がっている点も大牟田市の特徴ですね。それと、あまり自然のイメージがないと言われますが、実際には海や山も身近にあり、風光明媚なスポットも多いです。ぜひ一度、遊びに来ていただきたいですね。

(ご案内いただいた高台の公園から市街地を望む)

今回は、公園や学校、市営住宅などなど。バリエーション豊かに、多くの公共不動産情報をお寄せいただきました>

甲斐副市長:多くの情報を出すということについては、庁内でもかなり議論を繰り返しました。少し意地悪な見方をすれば、自ら多くの課題を露呈しているという風にも捉えられかねないし、焦点が定まらないような気もしましたし。
ただ、最終的には、ありのままの姿を見てもらうことで、ひとつでも良い結果に繋がるのであればという気持ちで決断したわけですが、遊休施設が財政に与えるインパクトは大きく、強い危機感を持っていたということです。

(熱い想いを語っていただいた甲斐副市長(役職は令和元年度時点))

ピーク時は今の倍の住民がいたということで、現在10万人程度の街にも関わらず、例えば、市街地周辺に大きな公園が2つもあったりと、住民一人あたりの床面積に換算して、全国平均よりも多くの公共施設を有しています。ある意味贅沢とも言える反面、財政的にはそれらの維持管理にかかる予算捻出に頭を悩ませていて、まさに公共施設活用に纏わる課題が明確に表れているという状況です。

保有施設削減の具体的な目標値も掲げているのですが、削減すればOKという考えではなく、そのプロセスも重要視していて。例えば、廃校活用ひとつとってみても、市民の中には「我が母校が、もう一度賑わう姿を見たい」という気持ちを持ってらっしゃる方もいるわけで、そういう部分を汲み取った活用マネジメントも同時に必要だと考えています。

ただ、残念ながら我々の力だけでは知恵が足りないというのが正直なところで、様々なアイデアをお持ちの民間事業者の方々のお力をお借りし、良い形でそのバトンを繋いでいきたいという想いです。

(当日は、炭鉱跡、団地、公園、小学校跡、道の駅などたくさんの場所を視察させていただきました)

中心市街地では「街なかストリートデザイン事業」というアーケード街などの商店街の活性化などの取り組みをされていらっしゃいますね>

藤井副市長:そうですね、公共施設に限らず、やはり中心市街地のアーケード街なんかも少子高齢化や大規模ショッピングモールができてきた影響でシャッター通りのような感じになっていきました。
そう言った場所に賑わいを取り戻していくために、市と商工会議所、民間事業者で協力して、空き物件ツアーや勉強会などの新規出店希望者と物件オーナーをマッチングして創業支援していくプロジェクトを実施しています。実際に、事業を通じて飲食店がオープンしたり空き店舗がかなり減りましたね。
もともと炭鉱町ならではのディープな側面も楽しい街なのですが、新旧が混ざり合ったり、若い人たちを応援していくことでより魅力が高まりつつあります。

(空き店舗のマッチングや創業支援を行いシャッター商店街では新たなあかりが灯り始めています)

実際に物件を見させてもらったうえで、個人的には、築島市営住宅がとても気になりました。ここについては、どんな活用をイメージされていますか>

八十島さん:わー本当ですか!嬉しいです。この建物、レトロな雰囲気で可愛いくて私も大好きなんです。
実はこの市営住宅、人口減少の煽りから近い将来に廃止する予定の建物なんです。市の財政的な方針としては、不要になった行政財産は処分するということが原則でして、この場所についても「更地にして売却」を基本線に進めていく予定でした。ただ、このレトロで可愛い外観や総数20戸というコンパクトな規模感から、アイデア次第で利活用できる道があるんじゃないかと、ずっと考え続けていたんです。

(可愛らしいレトロな外観がキュートな築島市営住宅)

このエリアは、地域コミュニティが希薄化している中にあっても、若い世代を中心に転入者が増加傾向で、せっかくのポテンシャルを引き出すためにも「人と人が緩やかにつながることができるような場所」の必要性を感じています。

活用にあたっては、小さな床面積でも営業可能な物販店や飲食店、マッサージやネイルサロンなど、様々な業態が入り混じった形をイメージしています。さらに、共同で利用できるアトリエ、スタートアップ向けの事務所、子供を預かることができる場所や、移住定住のきっかけとなるような住まいなど。用途を限定しすぎず、新しく入居してくださる方々と地域の人が自然と繋がり、賑わいが生まれる場所になればいいなと。

全体での活用開始はR6年6月以降を予定していますが、現在空室の11区画については、今でも協議可能です。暫定利用や期間限定での活用なども含め、幅広く何かご提案いただけたら嬉しいです。

(敷地も活かして新たなスポットができたら面白そう)

行政というと縦割り組織というイメージが拭えないのですが、大牟田市さんにはそれを感じさせません。公共不動産は物件により担当部署が違うことが多く、部局間でも全く連携がなされていない自治体も少なくないですが・・・>

甲斐副市長:今回のプロジェクトに乗り出すにあたって「ワンチーム大牟田」という体制を全面的に押し出して臨んでいますが、正直な話、我々が完璧なワンチームになれているかというと、まだまだです。やはりいろいろな点でかなり苦労しながら進めてきました。だから、「ワンチーム」は僕らはこうありたい、あるべきだよねというメッセージでもあるんです。

結局のところ、目指すべきところはみんな一緒で大牟田を良くしたいという想いです。各課がそれぞれのセクターで目指し方が違うだけで、実際に今回このような形で公共不動産のプロジェクトに参加できたことで、今までになかった連携が生まれ、いろいろな面において大きなきっかけにもなっていると思うんです。
というのも、各課自身が遊休施設一つひとつとしっかり向き合いはじめて、実際に「財政的にお荷物と思っていた遊休不動産にも良いものがたくさんあるね!」っていう風に、今までになかったような発想が生まれたり、役所内部の認識が少しずつ変化しているのを実感しているんです。先ほどの築島住宅の話ひとつをとっても、このプロジェクトに本格参加するまでは「売却以外の可能性」なんて話を周囲に語ったところで、誰も相手にしない状況でしたから。

そういう意味では、うちの八十島(やそしま)が、様々な部署を飛び越えて我々に火をつけてくれたとことに感謝をしていて。彼女がこのプロジェクトにかける想いはすごいですよ。逆プロポーザルイベント中止の連絡を受けた際には号泣していたほどですから(笑)それで、いろいろな課を横断してメンバーが集まって慰労会があったり、そんなことも今までだったら無かったと思うんです。
その火を消さないように、もっともっと広げていかなくてはいけないなと。
なので私も、副市長でありながら今日はこんな格好をしてますから(笑)

(一番左が八十島さん。終始和やかなムードで、とにかく明るく元気なチームです!)

全国でもそう言った積極的な活動ができている自治体には、本当に熱い情熱を持った職員の方がいて、かなり頑張って動かれているケースが多いです。大牟田市でもその姿を見て、触発される職員さんが増えてくれるといいですね>

甲斐副市長:はい。結果、理想的なワンチームになることができた先には、市民の皆さんが喜んでくれている姿が想像できるんですよね。だからこそ「めちゃくちゃやり甲斐ある仕事だ」って思えるし、そのことをチームのメンバー達はしっかりと伝えてくれていると思います。
今回のプロジェクトに参加させてもらえたことは、本当にそこに至るまでに起こる内部の意識改革にも参加している意義があると思っていて、こう言った本質的に大事な部分は、ワンチーム大牟田として、我々がいろいろな命題を動かしていくための職員に対してのメッセージになってくれればと思っています。

(手づくり物を含め想いの詰まった資料を受け取りました)

もちろん、公共不動産活用の結果も大事ですが、大牟田市のように自治体内で起こった意識改革はこの事業を行っている本質的な意味のひとつでもあり、これからの大牟田市が、ますます楽しみになってきました。また、同じような課題を抱える自治体もにとっても、何かのメッセージになってくれれば幸いです。

福岡県公共不動産活用推進プロジェクトでは、福岡県街なか遊休公共不動産の情報公開として福岡県内自治体が活用を希望する公共不動産情報をデータベース化して福岡県HP内で公開中です。福岡県内の公共不動産にご興味のある民間企業や事業者の方々などは是非データベースをご活用ください。

なお、今回ご紹介した大牟田市の活用検討地、その他お問い合わせについては、下記メールアドレスにご連絡ください。

お問い合わせ:info@dmx-j.com (担当:濵田)
福岡県公共不動産活用推進プロジェクトの詳細はこちら

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