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2015.1.25

 
糸島リアル移住日記(1)糸島は25年前からアツかった
松尾隆文(福岡R不動産/DMX)
 

福岡R不動産で主に糸島エリアを担当している松尾です。僕は25年ほど前に福岡市内から糸島に移住し、今も暮らしています。福岡市の西に隣接する糸島市は専門のムック本も刊行されるほど人気が高まっていますが、当時、工芸家などの工房は別にして一般的な移住は珍しい時代でした。初めての田舎暮し、きっかけは単なる思い付き程度のものでしたが、なじむまでにそれほど時間はかかりませんでした。移住の経緯と糸島での暮らしをシリーズでお届けします。

Vol.1 糸島は25年前からアツかった

「海山近し。家賃2万5000円」
住宅情報誌でこんなキャッチフレーズの賃貸物件を見つけてから、気になって気になって仕方がありません。築80年の農家で、糸島郡志摩町(現・糸島市志摩)の寺山という集落の中にありました。

今から25年前、僕は福岡市中央区薬院の雑居ビルに住んでいました。出版社を退職しフリーライターになって間もない頃です。仕事をするには便利な場所でしたが、結婚し子どもが生まれ、歩くようになると、急に環境が気になり始めました。近くの公園は幹線道路沿いで車がひっきりなし。排ガスの臭いの中で遊具にしがみつく娘を眺めながら、「もう絶対、田舎に住む!」と唐突に決心してしまったのです。

キャッチフレーズに嘘はなかった

引越し先の農家の前の道路から望む可也山と加布里湾。この景色は今も変わっていません。

糸島の物件に出会ったのはちょうどそんな時。大型連休のある日、ドライブがてら家族で出かけ、いっぺんで気に入ってしまいました。糸島はそれまで海水浴やドライブで数回訪れたことがあるのみでしたが、移住に際して障壁となるものはほとんどありませんでした。毎日定刻に出勤する必要もなかったし、妻は宮崎の海のそばで生まれ育ったので、むしろ僕よりも新しい環境を楽しみにしていたようです。

当時、既に糸島の〝うわさ〟は福岡市内にいても届いていました。陶芸や木工などの工芸家が次々に工房を構え始めていて、美しい海のイメージとともに工芸の里として知名度が高まっていました。行政がこれらを観光資源として活かそうと動き出したのもこの頃です。

糸島人気と地元の意識のギャップ

ただ、こうした移住の動きはまだ工芸家など一部の人たちに限られていました。モノづくりに縁のない僕たちが古い集落の真ん中に、それも賃貸で入居したことに、好奇の目が注がれたことも事実です。

引っ越してすぐに仲良くなった家具作家の奥さんは「持家志向が強いから子どもが学校に入ると肩身の狭い思いをするよ」と、そっと教えてくれました。妻は「あなたが何時に出て、何時に帰ってきたか近所はみんな知ってる」と可笑しそうに話します。そういえば、契約時に訪ねた地元の不動産業者さんは「よりによってこんな物件を」と言わんばかりのあきれ顔でした。要するに、夜逃げでもしてきたんじゃないか、と周囲から思われていたわけです。その一方で福岡の民放4局が相次いで僕たちの暮らしを取り上げたのは、糸島への関心が高まっていた現れではないでしょうか。

糸島に移住して最初に借りた戸建て。

現在の様子。尋ねると、リノベーションされ若いご夫婦が暮らしていました。

妻の父母は宮崎から何度も糸島を訪ねてくれました(写真上)。家は僕たちの退去後、間を置かず熟年夫婦が入居。その後、買い手が決まりリノベーションされて、現在は若い家族が住んでいます。

糸島の自然が不安を吹き飛ばしてくれた

周囲の白い目を感じつつも、大して気にならなかったのは糸島の自然のおかげ。海は内海と外海でいろんな表情があり、山は人々の暮らしに寄り添う里山が中心。田舎暮し初心者の僕たちをすっと受け入れてくれる優しさがありました。引越して間もなく、2歳の娘が12色のクレヨン全部を使って描きなぐった絵は、まさに庭から見える風景そのものでした。

屋根裏で見つけた小物を飾って楽しみました。

この農家に4年住んだ後、近くに土地を購入して家を新築することになるのですが、糸島の自然とここで出会った多くの人たちが、今日までどれだけ僕たちの支えになったか計り知れません。また生活スタイルも福岡市内にいた頃から大きく変わりました。次回は糸島の魅力と僕たちの暮らし方について書こうと思います。

娘と散歩する義父。集落の中に溶け込んでいます。

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このブログについて
 

海も川も緑も、そして街も空港も、なんだってすぐそこにある福岡。東京から移住して、気づけばその魅力を満喫すべく、会社を立ち上げたり、倉庫のような物件を改装してオフィスにしたり、果てには芥屋の海沿いに土地を買ってしまったり。徐々に増えていく福岡R不動産のメンバーとともに、この街の魅力を再発見する日々を綴ります。
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著者紹介
 

本田雄一
長谷川繁
坂田賢治
松尾隆文

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