求ム、空き家。預かって、直して、返します。
使われないまま眠っているけれど、壊すには惜しい。手を入れれば、誰かの暮らしや商いの場所になりそう。そんな空き家を探しています。僕らが一定期間お預かりして、費用をかけて直し、賃貸として運用する。そして期間が終わったら、手を入れた状態でオーナーさんにお返しする。今回は、実際にこの方法で再生した一軒をご紹介します。

香椎神宮のそば。空き家だった一軒を、店舗兼住居として再生しました。
福岡R不動産を運営していると、時折「実はうちに、持て余している空き家があって……」というご相談をいただきます。親から相続した実家。以前住んでいた家。事情があって、もう何年も空いたままの一軒。
思い出のある家だから、壊したくはない。かといって、人に貸せる状態にするにはまとまった改修費がかかる。その投資を回収できるか分からないし、何をどこまで直せばいいのかも分からない。貸した後の入居者対応や管理にも不安がある。
そうして結論が出ないまま、ひとまず空き家にしておく。固定資産税や維持費だけを払いながら、家は少しずつ傷んでいく。福岡の街を歩いていると、そんな「まだ使えそうなのに、使われていない家」をよく見かけます。
古い建物を見つけ、その癖や魅力を読み取り、使いたい人につないできた福岡R不動産としては、そこにもう一つ、できることがあるのではないかと考えていました。
まず、空き家を定期借家契約で貸していただきます。期間は物件ごとに相談しますが、目安は8年ほど。オーナーさんにお支払いする賃料も個別に設定しますが、固定資産税などの維持費を意識した水準を想定しています。
その代わり、対象となる物件では、リノベーション費用を原則として弊社側で負担します。建物の見立てから企画、設計、工事、入居者の募集、契約期間中の管理までを一貫して行います。

もとの造作を残しながら、入居者さんの感性が加わって、想定を超える空間になりました。
改修した建物を賃貸として運用し、契約期間中の家賃収入から改修費や運営費を回収していきます。オーナーさんが受け取るはずだった家賃の大部分を、先に建物へ戻していくような仕組みです。
契約期間が満了したら、通常の使用による経年変化はありますが、改修した建物をオーナーさんにお返しします。その後は、自分や家族で使うこともできますし、改めて賃貸借契約を結び、同じ入居者さんに使い続けてもらうこともできます。新たな入居者を探して賃貸を続けるという選択肢もあります。
大切なのは、立地と建物の状態、改修にかかる費用、見込める家賃、そしてオーナーさんの将来の予定が釣り合うこと。条件がうまく重なったときに成り立つ空き家活用です。

住まいだった場所に、近所の人が立ち寄れる小さな店ができました。
最初にこの方法でお預かりしたのは、福岡市東区、香椎神宮の近くの住宅街にある一軒です。長く使われていなかった家ですが、オーナーさんには「定年を迎えたら、ここで自分のカフェを開きたい」という夢がありました。
定年まではおよそ8年。それまでは誰かに使ってほしいけれど、自分で多額の改修費をかけるのは不安がある。建物をお預かりして運用する期間と、オーナーさんの人生の予定がちょうど重なる案件でした。
建物の特徴と場所柄を活かし、「住みながら小さな店舗を営みたい」という方をターゲットに、店舗兼住居として使える物件へのコンバージョンを計画したところ、ちょうど物件を探していたカフェ・バーの店主との出会いがあり、ご入居いただきました。
今では、静かな住宅街の一角に、ぽつんと灯りがともる小さなお店になっています。建物を直しただけではなく、そこで営まれる暮らしと商いまで含めて、新しい使われ方が始まりました。

表層だけでなく、キッチンやトイレなどの水回り設備も一新し、貸し出しています。

お預かりする前の建物。古さの奥にある使い道を探します。

残すところと直すところを見極めながら、工事を進めました。

住宅の一角を開き、通りから直接入れる店の入口をつくりました。
今回探しているのは、ただ古いだけの家ではありません。手を入れた先に、「ここで暮らしたい」「ここで何かを始めたい」と思う人の顔が浮かぶような家です。
駅から少し離れているけれど、庭や緑が気持ちいい。古い建具や間取りに、なぜか惹かれる。住宅街だけれど、小さな店や仕事場が似合いそう。眺めがいい。路地の雰囲気がいい。そんな数字だけでは測れない魅力が、使い手を呼ぶことがあります。
こんな「気になる」があれば、教えてください。
・古いけれど、壊してしまうのは惜しい
・庭、土間、建具、眺めなど、残したいところがある
・住居以外の使い方もできそうな気がする
・いずれ自分や家族で使う可能性を残しておきたい
・まとまった改修費や、賃貸管理の負担は避けたい

判断させていただくのは、今の内装がきれいかどうかではなく、手を入れた後に使いたい人が現れそうか、改修にかかる費用を家賃で回収できそうかということです。古さだけで対象外にすることはありませんが、立地や建物の状態によっては、お引き受けできない場合もあります。
ただ、そこをご自身で見極める必要はありません。難しそうに見える建物に、意外な可能性が残っていることもあります。
建物を拝見した結果、この方法ではなく、現状に近いまま貸した方がいい、必要なところだけ直して通常の賃貸にした方がいい、といった別のご提案になることもあります。雨漏り、建物の大きな傾きなど、構造躯体の補修に多額の費用がかかるケースはなかなか難しいのも事実です。
建物ごとに、持っている魅力も、かかる費用も、向いている使い方も違います。どの方法が合うのかを決めてから相談していただく必要はありません。その建物にとって、今どんな選択肢がありそうか。一緒に考えさせていただきます。
ご自身やご家族が所有する空き家で、「ひょっとしたら、まだ面白い使い道があるかもしれない」と思う建物があれば、ぜひご相談ください。
お問い合わせの際は、分かる範囲で、所在地、空き家になってからの期間、建物の写真、気になっている不具合、将来どのように使いたいかを教えていただけると、最初の見立てがしやすくなります。
ご相談・お問い合わせは、下記よりお気軽にご連絡ください。 福岡R不動産 物件活用相談フォーム
撮影:濵田大史(アノシマ建築写真事務所)


