面積：

123.66㎡（建物）
233㎡（敷地）

美術館か？ギャラリーか。それとも、新しい公共施設かもしれない。

そう思ってしまうような、白く浮かぶ建築。

窓も装飾もほとんどない、静かな白い外観に、ピロティのように浮いたフォルムも手伝って、ぱっと見で「家」には見えないかもしれません。

この家は、1階がまるごとストレージ、2階が居住スペースという構成。住居としてはちょっとめずらしいつくりですが、そのおかげで“暮らす空間”と“しまう空間”がきれいに分かれていて、全体の空気感がとてもすっきりしているんです。

玄関を入ると、すぐに階段…ではなく、緩やかなスロープのようなアプローチ。気づけばもう、2階の居住スペースにたどり着いています。

そして広がるのは、ひと続きのLDK。中央にどんと構えるアイランドキッチンは、まるで舞台のような存在感です。

壁づたいには大きなカウンターと収納が並び、視線の抜けと動線がすっと通った、心地よい広がりに。

リビングの奥には水まわりを集約。家事動線もすっきりしています。

さらにリビングの中央、数段上がった先に、寝室と子どもスペースが。

天井まで壁を立てず、上部を抜いた仕切りでやわらかく分けることで、光や空気は通しながらも、ほどよい距離感が保たれています。

床には“ミモザ”の無垢材を使用。あまり見かけない樹種ですが、グレイッシュで深みのある色味が、漆喰や土壁のやさしさと調和し、空間全体に静かな陰影を生んでいました。

設計を手がけたのは、弊社でもたびたびご紹介してきた建築家。漆喰、土壁、無垢材への深いこだわりはもちろんのこと、暮らしの動線や光の入り方、距離のとり方まで丁寧に設計に落とし込むスタイルは、やはり健在。どこにも似ていない、「ああ、あの方らしいな」と思わせてくれる一棟です。

ふつうの家じゃ物足りない。だけど、気張ったデザインもちょっと違う。

そんな人にこそ、そっと提案したい一軒です。