借景(しゃっけい) 「遠くの山などのけしきを、その庭の一部であるかのように利用してあること。そういう造園法。」
毎日無数の車が行き交い、道路沿いには多くの店舗が立ち並ぶ国道3号線。九州の大動脈とも言える道の途中、数分程坂道を登った先に驚愕の「借景」を持つフラットハウスがありました。
じつは本物件、もう少し早く皆様にご紹介したかったのですが、 最初の取材日にあいにくの雨空となり、その光景も風流で素敵だったのですが、少しでも晴れた日に写真を撮りたいと、お忙しいオーナーに調整頂いた末、ようやくご紹介できる運びとなりました。
何故僕が晴れに拘りたかったのか。それは本物件最大の特徴である景色を皆さまにお伝えしたかったからです。冒頭のように国道に近いながら、ここからのビューは数分前までの車だらけの状況が嘘のような大パノラマ。
ちょっとどのあたりまで見渡せているのか分からないくらいの光景が目一杯に広がるのですが、その広がり方が半端なく、目の前の山々全部がうちの庭。と言っても過言ではない。借景の極みなのでは?!と気分が高揚しました。
近年、イケアなどを中心に再開発の目立つ新宮町ですが、まだまだこんなに素敵な自然環境が残っているのですね。
建物自体はゆったりとした平屋建て。開口部が多めなのも特徴で、リビングはもちろん、台所やお風呂からも景色を堪能。さらに南からの採光もしっかりキャッチしているので気持ちいいことこの上なし。
間取りも7DKの余裕のある作り。これまではオーナーの自宅兼店舗として利用されていたということで、専用住宅でも、店舗利用でも、どちらもOKというフレキシブルさも魅力の一つでしょう。
立地自体は3号線には近いものの、電車駅は近くに無いですし、バスの利便性も高いとは言えないので、やはり車移動が前提にはなってきます。このあたりは日々の通勤や生活スタイルなど、人を選ぶ物件と言えるかもしれません。
一つ今回の取材でとても印象に残った1コマを。
取材中、くすりと思い出し笑いをするオーナーから、「春先になるとうぐいすの子供が鳴く練習を始めるのだけど、段々と鳴くのが上手くなっていくのがとても可笑しくて。」と一言。
これ、多分街中に住んでたら「気付けない」事柄だと思ったんです。うぐいすの声に「おやっ?」と思う事はあっても、雛鳥の成長にまで気が向くという事が僕の今までの人生では無かったなあと。
日々の暮らしの中で、無意識に忘れかけている花鳥風月を楽しませてくれる。心からそう思う自分がいます。
昔の人が「借景」という概念を生み出したのも、きっとこういう場所で感じた「感動」を技法に昇華しようとしたのかな。なんて、柄にもなく想いを馳せてみたり。
最期に、僕はこの場所は熊本の「大観峰」に匹敵する感動を持っていると思いました。本家と違って、初々しいカップルや熟年カップルやカップルかどうかもよくわからないカップルなど、他人が居ない事を踏まえれば、よりピュアに感動できます。
ここに敬愛を込めて、「新宮大観峰」と名付けたいと考えております。皆さま是非その感動を味わってください。
注※本物件は観光地ではありません。
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