Rトピックス
上毛町ワーキングステイ2013 福岡の小さな町の大きな一歩。まちづくりに参加しませんか
text=坂田賢治(福岡R不動産)

「地域のために働きたい」という声を最近よく耳にします。

でも、実際に行動に移すのはなかなか難しいようです。その理由は「どの地域がどんなことで困っているのか分からない」、「気持ちはあるけど、きっかけがない」など様々。

その一方で、地方では人口が減少し、高齢化が進み、様々な人の助けを求めている地域も多く存在します。


山間の風景の奥に瀬戸内海が。天気が良いときは山口県や国東半島まで見渡せます。

福岡県の東端に位置する上毛(こうげ)町もそんな地域の1つ。正直、福岡に住んでいる僕たちも昨年このお試し居住プロジェクトに関わるようになるまで「どこにあるのか」「何て読むのか」「どんな特色があるのか」まったく知りませんでした。

上毛町とは

少し説明しておくと、上毛町の人口は約8,000人、約3,000世帯。2001年以降、人口が減り続け、高齢者の割合が30.5%と典型的な山間部の小さな町です。

でも上毛町は、ただ衰退していくのを待っているわけではありません。
数年前から、自分たちが住む町を誇りに思えるよう、町全体のブランド化を目的に、埋もれてしまっているモノやヒトの魅力をしっかりと伝えていく仕組み作りを始めています。


実際に町を歩いて地域の良さ課題を共有しました。

様々なワークショップが行われています。        

まずは「コミュニティー計画」というものを作成し、「まちあるき」をしながら、自分たちの目で地域の良さや課題などを拾い上げて共有し、ワークショップを繰り返しながら、具体的なアクションをつくっていくことで、多くの町民が町づくりに参加できる形をつくりました。その結果、88ものプロジェクトが立ち上がり、30を超える地域団体が、自らの得意分野を活かした活動を行っています。

そして、昨年からは「町の価値を引き出し、きちんと伝えることができる持続可能な情報発信力」を付けることを目的に、町外の人からも力を借りる仕組み作りに取り掛かかりました。

ワーキングステイとは

その1つがワーキングステイ。
「まちづくり」や「田舎暮らし」に興味があり、デザインやWEB等の知識がある方を対象に、上毛町の空き家にお試しで居住し、仕事のスキルを活かして町に貢献してもらうというもの。

昨年はwebエンジニア、グラフィックデザイナー、webマガジン運営チーム(小説家や写真家、デザイナーなどの様々なスキルを持つ女性ブロガーが共同で運営)など個性豊かな方々が参加してくれました。


ちょっと大袈裟な参加者と町民の交流会。

山羊を見つけ、はしゃぎながら撮影会に。       

そして、彼らは約1カ月の滞在の間に様々な場所に行き、色んな人と出会い、仕事をし、田舎での生活を満喫しました。その中で、町の人たちに刺激を与え、魅力を発信し、彼ら自身もたくさんのものを得たようです。

そんな彼らが上毛町の生活を満喫しながら作成し、最終的に生まれたのがガイドブック「KOUGE」と短編小説「こうげ帖」でした。できあがった物を見ていると、このプロジェクトが参加者にとっても上毛町にとっても有意義なものだったことが伝わってきます。


滞在中の彼らの言葉で印象的だったのは、「滞在した有田集落はやる気・活気があり、コミュニティーに入っていきやすいと感じた」「新しい価値観を生み出そうとしている人たちと出会えたことが何より収穫」など、上毛町の人の魅力についての感想でした。特に町内外の人が協力して、新しい取り組みをしようとしており、ワーキングステイ参加者もその取り組みに参加できる環境が整えられていることが魅力だったみたいです。

誰もが顔見知りで、すれ違えば立ち話が始まる町、それが上毛町。新しい人を受け入れる懐の深さも持っています。

ワーキングステイで参加者が感じたことを「こうげ帖」のあとがきの文章がうまく表現してくれていたので少しご紹介します。

上毛町は、誰も知らない、駅もなければスーパーもない田舎町です。
けれど、この町には、目を輝かせて理想の暮らしを追いかけている人々がいました。
幸福の反対は、不幸ではなく退屈です。不安も虚しさも心が退屈し、鬱屈していくから生まれてくるもの。
退屈などしている暇がないほど、夢を追いかける暮らし。
目の前に映る景色に感嘆し、日々の出来事にときめく暮らし。
私たちは、上毛町で、そんな日々を過ごしました。
理想の暮らしは見果てぬ夢ではない。
上毛町で確信したそのことが、まだ見ぬ誰かに伝わることを願っています。

「こうげ帖」あとがきより


そんな彼らはワーキングステイが終わった後も、たびたび上毛町に通い、福岡市内の商業施設でイベントを行なったり、来年の春のオープンに向けて3組が協同して上毛町の新たなwebサイトを作成したりと積極的に町に関わってくれています。