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ちくご移住計画2013 木工職人編 ~歴史ある木工のまち「大川」の建具職人に学び暮らす3カ月~

※募集は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。


舞台となる前田建具製作所。

福岡の建築家やインテリアデザイナーが家具や建具制作の打ち合わせで大川に通っているのをご存知でしょうか。

家具生産高日本一を誇る大川市には、高い木工技術を持った多くの職人が活躍しており、繊細なデザインの木製家具や木製建具の制作には欠かせない存在となっています。

とある建築家によると、家具と建具の制作を一緒に依頼できるため、材料やデザインを統一できるのが大川の強み。繊細な技術が残っていることに加え、最近は漠然としたアイデアから具体的な形を一緒につくってくれる柔軟性のある職人が重宝されているとのこと。


町のいたる所に木工工房や家具屋さんが。

町中に材木がどんと置いてあります。木工の町ならでは。 

町を訪れると、たくさんの制作工場や販売店舗が建ち並び、家具の町であることが一目瞭然です。 様々な商品ラインナップを展開し、業績を拡大する企業もある一方で、淘汰される企業・商店がたくさんあるのも事実。全盛期には800軒以上あった木工の工房も、現在は減少傾向とのこと。

そんな中、いま大川で最も成長している家具企画販売会社「関家具」の関社長に伺いました。


敷地内にある雰囲気のあるカフェの中庭。

ーー大川が家具産業の一大拠点になっている強みは何でしょうか。

大川には職人、技術、工場など家具の知識が集積しています。
商品開発時には多くのスペシャリストと議論しながらアイデアを形にしていけることが強みです。
日本中どこに頼んでもできないことでも、大川の企業や職人・工場の知識を集結すればできると思います。

ファッションは東京や天神がメジャーですが、家具は大川でしょう。
販売拠点としても九州中からのアクセスは良好ですし、佐賀空港からも車で15分、十分集客力があり、関家具では家具のテーマパークをつくるというコンセプトを持っています。

ーー大川でも工場が少なくなっていく中で、関家具さんはどのように業績を伸ばしていらっしゃるのでしょうか。

時流に乗ること、そして、社員に任せることです。
住宅家具からオフィス家具・医療家具・ガーデン家具などまで含めると国内で3.6兆円のマーケットがありますし、家具の需要がなくなることはまずありません。


その中で、顧客のニーズに合う商品を常に企画・開発しています。
例えば、住宅を新築して家具を揃える場合に、設計時から家具のデザインを検討する時代になっていますので、建築家とのネットワークを築いたり、建築家に選ばれるデザインの商品開発を行っているのです。
また、現在オリジナルブランドだけで8つ以上ありますが、これらはすべて社内の企画アイデアから生まれています。
企画チームには、打率は3割あれば良いと日々言っています。失敗は社長が責任を取るので、どんどんやろうというスタイルです。

ーー関家具で働いている方は地元の方が多いのでしょうか。

いえ、全国から集まっています。
東京で同じ業界の上場企業で働いていた人が、弊社に転職し、大川に移住したケースも10人ほどあります。来月から来る家具の試作を行うモデラーも東京からです。
大川には仕事はありますので、是非多くの方に来てほしいと思います。

と、インタビューさせていただいたのですが、大川にある関家具本社とそこに至るまでの風景とのギャップにはシビレました。 福岡から東脊振IC経由で訪れると、平野の広がる田園風景を眺めながら大川の町に入っていきます。
町には閉鎖してしまった家具店の建物や工場なども残っており、衰退の影も見えるのですが、関家具デザインミュージアムがある一帯には、ブランドごとに建物が建ち並び、お店とカフェと工房が入り交じった素敵な空気が流れていました。
最近新築された本社屋を訪れると、ワンフロアに100人ぐらいもの人が元気に働いており、この町にこんな企業があったのか、と感動すら覚えるほど。
少々大げさですが、シリコンバレーならぬファニチャーバレーとして大川が再興する日も来るかもしれません。


オリジナルブランド「CRASH」の店内。

敷地内にはそれぞれのブランドのお店が。

その他にも、町の活気を取り戻すために、今までの垣根を越えた新たな活動も始まっています。

「食卓」をテーマに大川の木工職人と、あまおうや日本酒などの食の生産者とのコラボ商品を開発している「大川コンセルヴ」。ここから生まれた商品の1つが「幸せをはこぶファーストスプーン」。ファーストスプーンとは、生まれた子どもにスプーンを贈ると食べ物に困らず幸せになれるというヨーロッパの習慣です。このファーストスプーンを木で制作し、そのデザイン性の高さで昨年のグッドデザイン賞を受賞しています。

また、細分化されていた木工産業(家具・建具・材木・合板など)のジャンルを超えてのコラボレーションの機会を提供する「大川維新の会」というのもあります。木工という同じ分野にもかかわらず、関係性が薄かったそれぞれの業界を結び、その活動の集大成として毎年、太宰府にある九州国立博物館で「大川匠の世界コレクション」を開催しています。

そして今回、大川が持つ木工技術が積極的に活かされ継承されていくことを目的に、研修型の体験居住プログラムを企画しました。

3カ月間大川に住み、建具制作を行う木工職人のもとで働き、暮らすというものです。


居住物件は歴史を感じる白壁の邸宅。

大川のシンボル「昇開橋」。

居住物件は、明治初期に建築され、かつては醤油問屋だった白壁造りの古民家。
筑後川を挟んで対岸は佐賀県という県境に位置しています。

目の前には国の重要文化財である昇開橋がそびえ、徒歩5分で昇開橋温泉というのも魅力の一つ。


最近移転して、広くなった工場。

研修先は物件から徒歩10分の前田建具製作所

大川維新の会のメンバーでもある2代目の前田英治さんが率いる職人集団。個人としても、全国建具展示会国土交通大臣賞などを受賞しています。

その技術力に加え、ご自身も建築士の免許を持つなど、建築家に頼られる存在。


木工の経験がある方もない方も、ものづくりや建築に興味があればOK。
3カ月という短い期間では技術をものにするところまではたどり着かないでしょうが、そのまま職人の道を極めるもよし、その知識や経験を建築設計や施工など、関連する分野で活かすというのも面白いかもしれません。

プログラムの概要をまとめました。

  • 期間:
    • 第1期 2013年8月~2013年11月(居住12週、研修10週程度)
    • 第2期 2013年11月~2014年2月(居住13週、研修11週程度)
  • 募集定員:各期1人(個人のほか家族の同伴可。)
  • 報酬:15万円(ブログでの情報発信の委託料として)
  • 賃料:1,500円/滞在期間合計(水道光熱費は自己負担)
  • 応募締め切り:6月2日(日)

前田建具製作所の前田さんに伺いました。


事務所でのインタビュー(右が前田さん)。 

(左)前田さんが施工した専門学校のライブラリー。
(右)前田さんが制作した大川組子の天井。
(ともにphoto:Bunsei Matsuura)

ーー前田建具製作所ではどのような仕事をされているのでしょうか。

住宅の扉や障子などの建具を制作しています。一般的な家具は作りませんが、備え付けの家具を制作することもあります。量産ではなく、建築家からの注文でその建物に合わせた特注品を制作し、取り付けまで行っています。建築家の漠然としたイメージを現実の空間に落とし込んでいくことが仕事です。そのため、同じ作業を繰り返すというより、毎回新しいことを試行錯誤しながら、制作しています。

ーーこれから木工を学ぶ方にアドバイスをお願いします。

木工のすべての作業を一通りできるようになるには、3年間は必要です。1人前の職人になるにはさらに7年、合計で10年間はかかります。今回のプログラムでは、まず自分が木工に向いているのかを見極める期間として考えてほしいです。研修後、この世界でやっていきたいと思ったら、相談に乗るので、気軽に応募してほしいですね。


より詳細な募集要項はこちらをご覧ください。
応募は「ちくご暮らし」より。