連載
糸島移住者インタビュー vol.1 「その時」に最善な場所を選ぶ。定住しない「移住型の暮らし」
text=藤井優子

糸島に移住して来られた方々に、連続でインタビューをしていくシリーズ、始めます!

■移住を考えている人へのヒントに

海・山・川の大自然、豊かな食に、中心部へのアクセスの良さ……。住環境の魅力に溢れた糸島は、移住先として昔から人気のエリアです。近年首都圏から福岡への流入が増える中、その注目度はさらに上昇。全国各地からの移住者・移住希望者が、続々と増えています。

でも、実際に移住をするとなると目の前に立ちはだかるのは現実的な問題の壁。「住む家はどうやって探せばいいの?」「仕事はあるのか?」「地域の人に受け入れてもらえるか心配……」などなど。

そこで今回は、これまでに糸島に移住した方々にインタビューを実施。「移住に至るまでの経緯やハードル」「仕事や子育てなどの生活面」「移住を検討している人たちへのアドバイス」などを聞いてきました。第1回は、2009年にイギリスから糸島へ移住してきた西出裕加子さんへのインタビューをお届けします。

■イギリスから糸島に移住して4年


お庭でお茶をしながら、子供たちと遊ぶ西出さんのご家族。イギリス人のご主人と、お子さんふたりとこの地で暮らしています。

──「糸島へ移住する前は、イギリスに住んでいたんです」。西出さんは、現在、外資系ホテルのマーケティングマネージャーとして働いています。日本の大手広告代理店を退職後、イギリスのリサーチ&コンサルティング会社へ転職。そこで出会ったイギリス人のご主人と国際結婚。イギリスでの生活は、仕事・プライベートともに満足のいくものだったそうです。そんな生活を手放して、なぜ日本へ、またその中でも糸島への移住を選ばれたのでしょうか?

西出:きっかけは、1人目の子どもを妊娠したことです。イギリスの暮らしは気に入っていましたが、そこで子どもを産んで育て始めてしまったら、もう日本に戻ってくるタイミングがなくなってしまうと思ったんですね。国際結婚ですが、やはり日本の文化や言葉を学んでほしいと思ったので。「Now or never(今か、もしくは未来永劫ないか)」だと思って、妊娠30週目に、猫2匹と主人と一緒に帰ってきました。

──帰国後は、ひとまず実家のある福岡市内へ。20年ぶりの母親との同居は難しく、すぐに引越しを考えることに。でも、住む場所をどこにするのか。産休を終えて仕事を再開することまで考えると、やはり関東がいいだろうか。「日本の狭いマンションにはとても住めない」というイギリス人のご主人の意向もあり、まずは都心に近い鎌倉や葉山で物件を探したそうです。

西出:実際に不動産を巡って、7~8件くらい見て回りました。でもそのエリアでは、6000~7000万出しても、隣の家が近くて庭も小さい物件ばかり。ましてや、3000~4000万ではまったくいい物件がなかったんです。それに、都内へ通勤することを考えても、片道2時間はかかってしまう。当時30代後半だったのですが、次のライフステージとしてそんな生活はもうしたくありませんでした。移住を急いでいたわけではなく、時間もあったので、鎌倉・葉山での物件探しはいったん保留になったんです。


移住のきっかけとなった「サンセットロード」の海岸。

──振り出しに戻った物件探し。糸島という土地を知ったのは、家族でドライブに行ったときのこと。

西出:糸島に行ったのはそのときが初めてでした。車で糸島のサンセットロードをドライブして、すぐに気に入ってしまったんです。「まるでタイみたい! 日本にこんなところがあるなんて!」って(笑)。鎌倉や湘南と比べて海の色が違うと感じましたし、商業化されていないのがいいなと思いました。外国人も多くて閉ざされていない雰囲気も良かったですね。ドライブ途中あちこちで外国人を見かけるので、イギリス人の主人や、海外生活の長い私は安心できたんです。
改めて物件を調べてみると、驚くほど安くて、それが移住の大きな後押しになりました。もともと家探しの条件だった広い家と庭が安価で手に入ること、綺麗な海が近いことが決め手になりましたね。